当ネットワークには「もっと早く扁摘パルス治療を知っていればよかった。」という後悔の言葉が多くの患者さんから寄せられています。扁摘パルスは手術を伴う入院を必要とする治療なので、扁摘パルスについて十分な知識を得たうえで、最終的には患者さんが自己責任で治療を選択する必要があります。 そのために、まずは扁摘パルスの経験のある医師から治療に関して患者さんが納得のゆく説明してもらわなくてはいけません。扁摘パルスを受けるか受けないかは患者さんが決めることですが、扁摘パルスに関する情報を知らないまま、時間が経過して、寛解を目指すことができない段階にまで進行してしまうということは、是非とも避けなければいけないという思いで私はこのネットワークを立ち上げました。
IgA腎症根治治療ネットワーク開設から17か月で648件の扁摘パルス実施施設の問い合わせがありました。東京(84件)、神奈川(38件)、大阪(56件)などの人口が多い都道府県の問い合わせ件数が多く、一方、人口の少ない山梨(1件)、山形(1件)、福井(1件)、佐賀(1件)、秋田(0件)からの問い合わせ件数が少ないのは当然のことと思われます。
ある地域における扁摘パルス実施施設の問い合わせ件数が人口に比して多いかどうかを検証するために、全体の件数に占める各都道府県の件数の割合(A%)と日本の総人口に占める各、都道府県の人口の割合(B%)を比較してみました。AがBに比べて大きいほど、その地域で扁摘パルスをしてくれる施設を探している人が生じやすい(その地域で扁摘パルスが盛んでない?)と思われます(表)。
施設の問い合わせ件数が5件以上でA/Bが大きい(人口の割に問い合わせ件数が多い)都道府県は兵庫(1.99)、京都(1.91)、富山(1.89)、奈良(1.82)、石川(1.54)、長野(1.54)、高知(1.54)の順で、これらの地域で扁摘パルスのことを相談したくても適切な施設が見つからない「IgA腎症難民」が生じやすくなっていることが想定されます。
それとは反対にA/Bが小さい(人口の割に問い合わせの件数が少ない)都道府県は宮城(0.44)、新潟(0.47)、愛知(0.63)、福島(0.68)でした。これらの地域では扁摘パルスを求めて途方にくれるIgA腎症難民が生じにくいと思われます。また、この指標でみると東京(1.3)、大阪(1.25)、埼玉(1.13)、神奈川(0.85)などは問い合わせ件数そのものが多くても人口の割に特に多いわけではないということが言えます。
このネットワークを開始して以来、全国の扁摘パルスを実施している医療施設の多くの先生方から賛同の声をいただき、施設問い合わせで紹介できる施設が増えてまいりました。残念ながら、現時点でも兵庫、京都、奈良、石川、長野を含め、扁摘パルスの実施施設を当方が十分把握出来ていない地域があります。同地域に限らず、本ネットワークを充実するために、扁摘パルスを積極的に実施している先生から直接に、あるいは、扁摘パルスを実際にお受けになられた患者さんが推奨する施設がありましたら当ネットワークにご連絡いただければ幸いです。
堀田 修クリニック 院長 元仙台社会保険病院腎センター長(〜2008年12月31日) |
堀田 修クリニック (宮城県仙台市)
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本ホームページの内容は仙台社会保険病院腎センターで蓄積されたものが大半を占めますが、本ネットワークの目的は特定の団体、個人のPRではなく扁摘パルスに関する非営利目的の情報発信です。私(堀田 修)が個人で賛同者を募り、ネットワーク運営を行っています。